※本プレスリリースはジャガー・ランドローバー社が2012年3月30日に発表したプレスリリースの日本語訳です。
2012年4月4日
(日本語訳発行日)
L12U002
2012年3月30日
ミハイル・クラシネツというひとりの男の情熱がなかったら、ロシアのモータリング史を彩る重要な1ページは抜けおちていたことでしょう。ランドローバーのジャーニー・オブ・ディスカバリーが、モスクワ近郊の雪原でそんな歴史と出会いました。
モスクワから南へ車で数時間、トゥーラの町はずれにめずらしい、あまり見かけることのない自動車博物館があります。
普通は博物館と聞くと、広々とした展示室にオーディオガイド、数種類の言語で記された説明板などをイメージされるでしょう。しかしこの自動車博物館にはそうしたものは皆無です。というよりも、旧ソ連製の古い自動車が、原野に大量に放置されているようにしか見えないでしょう。
博物館のオーナー、ミハイル・クラシネツ氏はモスクヴィッチのテストドライバーを務め、ラリーに参戦した経験もある人物で、真のソ連車愛好者です。いわばここはロシア自動車史の聖地ですが、簡単にたどりつけないことはクラシネツ氏も認めています。
博物館は、道路からはずれ、深い轍が刻まれた荒地を数マイル走った先にありました。しかも私たちが訪ねた日は1メートル近い積雪となり、横殴りの吹雪のなか、むきだしの傾斜地を登らなくてはなりません。走行距離8,000マイル、14カ国を通過する「ジャーニー・オブ・ディスカバリー」のなかで自動車博物館への訪問はちょっとした立ち寄り先に過ぎませんが、「ランドローバー・ディスカバリー」に乗っていてこれほどありがたいと思ったことはありませんでした。「ディスカバリー」でなければ、これほどの雪の悪路を乗りきることはできなかったでしょう。
丘の頂上にようやく達したとき、目の前にあったのは錆びついた自動車の残骸でした。こんなものを見るために、私たちはわざわざここまで来たのだろうか? 疑問が胸をよぎったとき、クラシネツが姿を現わしました。
旧ソ連時代の自動車にかけるクラシネツの情熱は並々ならぬものがあります。資金は乏しく、クラシネツはほとんど熱意だけでこのコレクションを維持してきました。いまや失われようとしている、旧ソ連の自動車生産の歴史が、ここで雪に埋もれているのです。
「ここにはソ連の主要自動車メーカーが生産したモデルが、ほぼすべての年式で揃っていますよ。」
クラシネツは誇らしげに話します。1990年代初頭にここで博物館を開いたときは、わずか40台しか所有していませんでしたが、いまでは300台近くに増えました。
コレクションのなかでとくに貴重なのは、1964年式GAZチャイカでしょう。4.5リッターV型8気筒エンジン、巨大なフィンとスポーティなホエールテールが特徴で、共産党のひと握りのエリートしか乗れない車でした。一般市民は羨望のまなざしで眺めるだけの車です。一般に売られていなかったので、たとえ大金を持っていたとしても買える代物ではなかったのです。クラシネツによると、個人で買って所有していたのは、ソ連時代の作家ミハイル・ショーロホフただひとりだったそうです。
ステータスではジルのリムジンのほうが上ですが、自動車としてはチャイカを高く評価する声が多いようです。ニキータ・フルシチョフも最高指導者時代にジルを与えられましたが、チャイカに好んで乗っていました。
クラシネツもチャイカを所有しています。
「すばらしい車です。ちょっと前まで、自分のような人間がチャイカを持つなんて考えられませんでした。」
と顔を輝かせて語ります。
チャイカの対極にあるのが、1973年式モスクヴィッチ1500でしょう。飾りのないくすんだ鉄の箱といった印象で、ソ連の一般市民にとって自動車はこういうものでした。
けれどもクラシネツのいちばんのお気に入りは、チャイカでもモスクヴィッチでもありません。彼がうれしそうによじのぼったのは、1974年ジル軍用トラックでした。5.5リッターエンジンを搭載した重量級で、軍隊時代に自ら運転していた思い出の車です。ベストな状態とは言えませんが、キーを回すと一発でエンジンが始動しました。
クラシネツの軽快な身ぶりに誘われて、意外なほど狭い座席に私も乗りこみました。彼は有無を言わせず私を運転席に座らせます。こんなチャンスを逃す手はありません。長いシフトレバーをファーストに入れ、エンストしないようにクラシネツの指示通りにクラッチを操作すると、車は雪を蹴散らしながら前進を始めました。クラシネツの宝物を横転させないよう、重たいハンドルに必死でしがみつきます(もちろん、パワーステアリングなどというものはついていません)。
私たちはクラシネツの自宅の周辺を数マイルほど走りましたが、こんなに楽しいドライブは久しぶりでした。おたがいの言葉は一言も解さないのに、私たちの心はしっかり通いあっていました。車への情熱は、世代も文化も超えて心のなかで燃えつづけているのです。
快適で洗練された「ランドローバー」にふたたび乗りこみ、モスクワに向けて走りだしたとき、自動車はここまで進歩したのかと感慨を覚えました。時間をさかのぼる貴重な経験でした。
私たちの旅をぜひご覧になり、目標達成にご協力ください。
詳しくは
www.landrover.com/millionで。
以上
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