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JLR、「RANGE ROVER」のセカンドライフ・バッテリーを使用したポータブル・バッテリーエネルギー貯蔵システムを開発 外出先でのゼロエミッション充電を実現

公開日:2024/04/24 16:30

2024年4月24日

JLR、「RANGE ROVER」のセカンドライフ・バッテリーを使用した
ポータブル・バッテリーエネルギー貯蔵システムを開発
外出先でのゼロエミッション充電を実現

■JLRは、「RANGE ROVER」および「RANGE ROVER SPORT」の PHEVモデルのセカンドライフ(使用済み)・バッテリーを使用した新しいポータブルのバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)を開発
■エネルギー貯蔵システムを開発するスタートアップ企業であるAllye Energy(アリー・エナジー)と共同開発したこのユニットは、JLRのバッテリー・パックを使用して市販される初のBESS
■各BESSは7台分のセカンドライフ・バッテリーを使用し、英国の平均的な家庭のほぼ1か月分の消費電力に相当する、270 kWhのエネルギーを貯蔵可能*
■JLRのエンジニアリング・チームは、今年後半に受注開始予定の「RANGE ROVER」初の電気自動車(EV)である「RANGE ROVER ELECTRIC」のテストでゼロエミッション充電を可能にするBESSを初採用。このBESSは一度に最大9台の「RANGE ROVER PHEV」をフル充電することが可能
■BESSは1,000時間以上の走行テストでプロトタイプ車両に電力を供給し、1年間で15,494 kg以上のCO2を削減**。このCO2排出量は、飛行機の乗客1人がロンドンからニューヨークまで7往復分に相当する
■JLRが循環型経済の原則を採用し、EVのバッテリーをリサイクルする前にエネルギー貯蔵システムで再利用することで、EVバッテリーに新たな価値を生み出す取り組み
■2039年までにサプライチェーン、製品、事業全体でカーボンネットゼロの達成を目指すJLRの「REIMAGINE」戦略をサポート

2024年4月16日、英国ゲイドン発: ジャガー・ランドローバー(JLR)は、エネルギー貯蔵システムの開発を手がけるスタートアップ企業であるAllye Energyと提携し、外出先でゼロエミッション充電を実現する斬新なバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)を開発しました。

1台のMAX BESSには、「RANGE ROVER」および「RANGE ROVER SPORT」のプラグイン・バッテリー(PHEV)モデルに搭載されていたバッテリー・パック7台分を再利用しています。車両から取り外したバッテリーは、一切の加工を行うことなく、カスタマイズされたラックに差し込むだけで使用することが可能です。各BESSは、フル充電の状態で、英国の平均的な家庭の約1か月分の消費電力に相当する、270 kWhのエネルギーを貯蔵することができます*。

JLRのセカンドライフ・バッテリーを採用した初めてのBESSは、一度に最大9台の「RANGE ROVER PHEV」を充電することが可能です。充電は、JLRの既存のPHEVモデルおよび電気自動車(EV)モデルに採用しているコンバインド充電システム(CCS)に対応しており、充電プラグを接続するだけで充電を開始します。さらに、パワーロック・コネクター経由でのマルチ給電コネクターにも対応しており、固定サイトまたはオフグリッドサイトで、再生可能エネルギーを充電することが可能です。

MAX BESSは、これまで自動車業界が頼ってきたディーゼル発電機の代替システムとして、電力網が整備されていない遠隔地で開催される発表会やイベントなどで、車両に電力を供給するために使用することができます。JLRのエンジニアリング・チームは、今回初めて、この新しいBESSを導入し、今年後半に受注開始予定の新型「RANGE ROVER ELECTRIC」の走行テストにおいて、ゼロエミッション充電を行っています。

平均的なディーゼル発電機は通常、1時間あたり16 Lの燃料を消費します。これは、1日に3時間使用した場合、合計129.12 kgのCO2排出量に相当します***。JLRのエンジニアリング・チームは、BESSを使用して1,000時間以上のテストで車両に電力を供給し、年間で15,494 kg以上のCO2排出量を削減予定です。これは、飛行機の乗客1人がロンドンからニューヨークまで7往復した場合のCO2排出量に相当します。

この多用途なBESSの重量は3.5 t未満で、さまざまな場所に移動することも、固定して利用することも可能で、販売店やJLRの拠点に設置することができます。これにより、JLRの3,000を超える販売ディーラーネットワークは、太陽光などの再生可能エネルギーを効率的に活用したり、電力網への接続が制限される遠隔地での急速充電をサポートする蓄電装置として使用することができます。このユニットは、JLR以外のお客様でも利用できるように市販予定です。

JLRは、「REIMAGINE」戦略の一環として、包括的なEVエコシステムを構築することを目標に掲げ、電動化に150億ポンドを投資しています。これには、EVバッテリーのライフサイクル全体を考慮することも含まれ、JLRがエネルギー貯蔵システムおよびその後のプロセスで模索している新しい循環型ビジネスモデルのひとつです。

BESSが実際の現場でどのように使用されているかの一例に、「RANGE ROVER ELECTRIC」の開発過程で、低速充電しかできない遠隔地のオフロードでもエンジニアリング・チームが長時間の耐久テストを行っているというものがあります。テストを実施したエンジニアは、低電力電源からBESSに充電し、その後、BESSの急速充電機能を使って、電源から車両を直接充電するよりもはるかに短時間で「RANGE ROVER ELECTRIC」に充電することが可能になりました。その結果、通常では不可能なほど短い期間でテストを完了することができるようになります。

バッテリーのバリューチェーンは、2022年から2030年にかけて毎年30 %成長し、4,000億ドル以上に達すると予測されています。固定サイト向けのセカンドライフ・バッテリーの供給量は、2030年までに年間200 GWhを超え、世界的な価値は300億ドルを超えると予測されています****。

最高水準で設計されたJLRのバッテリーは、EVの要件を下回った低エネルギー状態でも、通常70~80 %の容量が残っているため、エネルギー貯蔵システムで安全に使用することができます。これらの二次利用が終了した後、真の循環型経済の実現に向けた取り組みの一環として、JLRは原材料を回収して再利用できるようにします。

JLRのストラテジーおよびサステナビリティ担当エグゼクティブ・ディレクターである、フランソワ・ドッサは次のように述べています。「私たちが掲げる『REIMAGINE』戦略では、従来のビジネスモデルから、循環型のビジネスモデルに方向転換することに重きを置いています。今回、BESSによるバッテリーの革新的な利用方法およびAllye Energyとのパートナーシップは、『RANGE ROVER』をはじめとする車両のバッテリーを再利用することで、当社として創出できる価値を示しています。私たちは、通常であればバッテリーを直接リサイクルに回されてしまうものを、その前に再利用することで、セカンドライフ・バッテリーから新たな価値を生み出し、より長く使用することができる、革新的な再生可能エネルギー貯蔵ソリューションを提供します。」

JLRのサステナブル・インダストリアル・オペレーションズ担当ディレクターである、ルーベン・チョーリーは次のように述べています。「私たちは、循環型サプライチェーンという目標の実現を可能にする次世代のサステナビリティ・プロジェクトにおいて、Allye Energyと協力できとても光栄です。持続可能なビジネスを実現し、2039年までにカーボンネットゼロを達成するというJLRの目標を達成するためには、このようなセカンドライフ・バッテリー・プロジェクトは極めて重要なのです。」

Allye EnergyはDeepTech分野におけるスタートアップ企業で、グリッドエッジで利用可能な分散型エネルギー貯蔵システムを開発し、バッテリーに接続するだけで、消費者に直接電力を供給しています。

Allye Energyの最高経営責任者(CEO)であるジョナサン・キャリアー氏は、次のように述べています。「JLRとの協業は、持続可能なイノベーションを実現するという共通のコミットメントを示すものであり、クリーンエネルギー・ソリューションを活用する未来へと歩みを進めるものです。MAX BESSへの『RANGE ROVER』PHEVモデルのバッテリーの搭載は、効率と持続可能性を最大化するために、さまざまなモデル、ヘルス・ステータス(SoH)、セル化学組成のバッテリーを統合するという、当社の革新的なアプローチを強調するものです。私たちのチームは、アンドリュー・ウィットワース、JLRのバッテリー・ビジネスユニット・チームのクローズドループ・バッテリー・イノベーションへの取り組みに感謝しています。私たちは、今後もパートナーシップを継続し、すべてのJLRモデルのバッテリーに、エネルギー貯蔵システムという形で第二の人生を与える機会を提供したいと考えています。」

この取り組みは、以前発表したWykes Engineering(ワイクス・エンジニアリング)との提携に基づいています。現在、JAGUAR「I-PACE」のセカンドライフ・バッテリーは、ノーサンプトンシャーのチェベストンにある再生可能エネルギーパークの電力網の安定を支えている、英国最大のエネルギー貯蔵システムに活用されています。Allye Energyが開発したBESSでは、「RANGE ROVER ELECTRIC」と同じモジュール構造を持つ「RANGE ROVER」 PHEVモデルのバッテリーが初めて採用されています。

※本プレスリリースはジャガー・ランドローバーが2024年4月16日(現地時間)に発表したプレスリリースの抄訳です。

* 年間2,700 kWhの電力を使用するイングランド、スコットランド、ウェールズの平均的な家庭に基づく数値(ガスと電気の平均使用量 | Ofgem)
** ロンドン・ヒースロー空港からニューヨークJFK空港までボーイング787型機で往復すると、乗客1人につき2.2 tのCO2が排出されます。15,494 kgは、15.494 tに相当し、これを2.2で割ると7.042(約7往復)となる試算
*** 1 L = 2.69 kgのCO2換算に16を乗じた数値 = 43.04 kgに基づく。1時間あたり16 Lのディーゼル = 43.04 kgのCO2排出量 x 3時間 x 120日 = 年間15,494 kgの CO2と試算。おおよそのディーゼル燃料消費量チャート、フリートのCOS排出量に基づいた計算方法
**** 出典:マッキンゼー「Second-life EV batteries: The newest value pool in energy storage」、マッキンゼー「Battery 2030: Resilient, sustainable, and circular」

以上

エディターズ・ノート

JLRについて
JLRの「REIMAGINE」戦略は、デザインによるモダンラグジュアリーというサステナビリティに富んだビジョンを実現することを目標としています。

2039年までにサプライチェーン、製品、オペレーションのすべてを通じて排出ガス量実質ゼロという目標に向け、JLRは事業の変革に取り組んでいます。承認された科学的根拠に基づく目標を通じて、2030年までに事業とバリューチェーン全体で排出量を削減するためのロードマップを策定しました。この戦略の中核をなすのは、電動化です。10年以内に、「RANGE ROVER」、「DISCOVERY」、「DEFENDER」 の3つのファミリーにそれぞれフルバッテリー電気自動車(BEV)を取り揃え、ジャガーは、全ての車種がBEVとなります。

JLRは英国を拠点とする企業であり、英国に2つの主要なデザインおよびエンジニアリング拠点、3つの車両製造工場、エンジン・マニュファクチャリング・センター、バッテリー・アッセンブリー・センターを有しています。さらに中国、ブラジル、インド、オーストリア、スロバキアにも車両製造工場を展開、7つのテクノロジー拠点を有します。

JLRはタタ・サンズ傘下のタタ・モーターズ・リミテッドの100%子会社です。


Allyeについて
Allyeは、電力ネットワークと連携し、グリッドエッジで分散型エネルギー貯蔵システムを提供し、電力網の脱炭素化を加速すると同時に、企業および一般家庭のお客様が、エネルギーコストを最大50%削減できるようにすることを支援しています。 

洗練されたAllyeのエネルギー貯蔵システムは、バッテリーの接続、分散、使用方法に新しい考え方を導入するものです。柔軟なモジュール形式を採用したバッテリーは、自己学習機能を備え、クラウド経由でインテリジェントに管理されるため、バッテリーの寿命を最大化し、時間帯によって電力価格を最適化します。

Allyeのシステムは、デジタルツイン(DigitalTwin)テクノロジーを使用した機械学習とAIを導入し、アセット集合体としての作動とパフォーマンスを最適化し、個人レベルではエンドユーザーに利益をもたらし、システムレベルではエネルギーネットワークにメリットを提供します。

Allyeの詳細につきましては、allye.comをご覧ください。


◆お問い合わせ先◆
ジャガーコール(フリーダイヤル)0120-050-689(9:00-18:00、土日祝日を除く)
ランドローバーコール(フリーダイヤル)0120-18-5568(9:00-18:00、土日祝日を除く)

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